はじまり
「どんなことをしているの?」
と聞かれるたびに、ずっと長いこと、言葉がまっすぐ出てこなかった。
言葉が詰まるのは、自分がどこかで抱えているものと向き合いきれていないから。
心がズシンと重くなるたびに空を見て、躓くたびに旅に出た。
たくさんの失敗をして、たくさんの愛を受け取った。
知らない土地のおじちゃんおばちゃんや、土の香りや、魚たちや、路地裏の猫や、バイオリン弾きのお兄さんや、汚れたカップや、ゴミとなった少し前の誰かの大切なものに執着して。
ああ、泣きたくなるほど、大切なものがたくさんこの手にあって、抱えきれなくなる。
家族も、遠くの誰かも、動物も、自然も、みんな大事だ。
息抜きは苦手。手抜きも苦手。
いつだって本気で走り続けたい。全部、まるごと愛したい。
そんな想いが相まって、こうして記していくことにした。
ここから、はじまり。
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